科研コラム
#1 食肉科学技術研究所の主な業務について(2015年5月号)
当研究所は、2004年3月の設立以来11年目の春を迎えました。前身の日本食肉加工協会時代から、食肉・食肉製品を中心とする食品の品質、安全にかかわる検査・研究及び調査事業を行ってきましたが、食肉加工業界の皆様に食肉科研をもっと知っていただくため、このコラムをシリーズで書かせていただくことにしました。まずは私たちの主な業務の紹介からスタートします。
☆☆JASに関すること☆☆
ハム・ソーセージ・ベーコンをはじめとする食肉製品の日本農林規格(JAS)登録認定機関として、JAS認定基準に基づく工場の認定、調査、指導を行っています。現在、JAS認定工場数は、ハム・ソーセージ・ベーコン96、熟成ハム類等64、その他に、ハンバーガーパティ及びチルドハンバーグステーキ7工場となっています。認定は国内に限らず、韓国、中国、タイ、台湾を対象としていて、昨年はタイの事業者がJAS認定工場となりました。
認定業務は公平、公正に行うことを方針とし、外部委員で構成される認定業務評価委員会を設置して定期的に評価やアドバイスを受けています。
また、全国のJAS認定工場が製造したハム・ソーセージ・ベーコンが毎日50検体ほど届きますので、教育訓練を受けた検査員がJAS規格に適合するかどうかを検査しています。
☆☆食品衛生法による製品検査など☆☆
食品衛生法による輸入食品の命令検査を行う厚生労働省登録検査機関として、抗生物質、合成抗菌剤、農薬の残留検査、リステリア・モノサイトゲネス等の微生物検査を行っています。多様な検査項目に対応するため、分析機器の整備、マニュアル類の充実化を図るとともに、検査員の教育訓練、国内外の外部精度管理への参加、内部精度管理などによって品質保証体制を整えています。
会員の皆様からの依頼検査につきましては、近年は食肉製品の規格や安全性にかかわる検査だけでなく、食肉のおいしさ(品質)にかかわるテクスチャー(物性)や遊離アミノ酸分析など、賞味期間を再設定するための保存試験などの検査が増えつつあります。最近では食品への異物混入の問題が社会的に大きく扱われたこともあって、異物検査のご依頼も多く、様々な角度から分析しています。
☆☆これからのこと☆☆
○栄養成分表示の義務化に向けて
平成27年4月1日に食品表示基準が施行され、栄養成分表示が義務化されることとなりました(経過措置期間は5年)。会員の皆様方が分析によって自社製品の栄養成分を把握しようとしたときにご利用いただけるよう、迅速で精度の高い検査を提供してまいります。
○HACCPへの対応
厚生労働省は、平成26年5月に「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関するガイドライン」を改正し、衛生管理の方法としてHACCP導入型基準を取り入れました。今後HACCPを導入した衛生管理を進めようするときに、食肉製品に関する専門家としてお手伝いします。
これからもどうぞよろしくお願いします。
文責:事業統括部 猪口由美