科研コラム
#8 食品表示基準に取り込まれ義務化された「栄養成分表示」について(2015年12月号)
平成27年4月1日から食品表示法に基づく食品表示基準が施行となりました。今回は、食品表示基準に取り込まれ義務化された「栄養成分表示」についてお話します。
☆☆食品表示法創設の概要について☆☆
一般食品の表示は従前、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、健康増進法の3法により取り決められていました。新しく施行された『食品表示法』は、この3法の食品表示に関する規定を統合、重複していた規定や複雑な解釈を一元化することで整合性をとり、消費者と事業者のどちらにもわかりやすい表示を実現する観点から創設されました。
☆☆表示義務化の対象成分☆☆
栄養表示は食品に含まれる栄養成分を表示し情報提供することで、消費者が食品を購入する際の商品選択の一助とするためのものです。飽食の時代となり日本人の食生活の変化とともに生活習慣病への対応が必要となった背景もあり、栄養表示が義務化となりました。表示が求められる栄養成分を下記に示します。
義務 熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示)
任意 推奨 飽和脂肪酸、食物繊維
その他 糖質、糖類、コレステロール、ビタミン、ミネラル類
義務表示の対象成分は、熱量等5成分が定められています。また任意表示のうち推奨項目に定められている飽和脂肪酸及び食物繊維は、消費者にとって表示の必要性が高いことから将来的には義務化を視野に入れている成分です。
☆☆ナトリウム表記から食塩相当量表記へ☆☆
従前は「ナトリウム」として表示が取り決められていましたが、食品表示基準ではナトリウムに2.54を乗じ算出した「食塩相当量」を表示するよう変更されました。実際にナトリウムを表示することは科学的には正確であるものの、我が国の食事摂取基準がナトリウムではなく食塩相当量で定められていることや食塩相当量を用いた栄養指導が行われてきたこともあり消費者に理解されやすい表記となったようです。
☆☆表示方法について☆☆
次頁に表示例を示します。
基本的なルールとして表示する食品の100g、100ml、
1包装や1食分など食品単位あたりの各栄養成分を表
示します。また、表示すべき項目の順序と単位が定
められており、①熱量(kcal)、②たんぱく質(g)、③
脂質(g)、④炭水化物(g)、⑤食塩相当量(g)となります。
ただし、食塩相当量については、ナトリウム塩を添加していない食品にのみ任意でナトリウムの量を併記することができ、その場合単位はmg(1,000mg以上の場合はg表示可)となります。なお従前は食物繊維を表示する場合、炭水化物に代え「糖質、食物繊維」を表示することになっていましたが、食品表示基準では炭水化物は必須表示となったため、炭水化物の内訳表示として糖質、食物繊維を表示することになります。他に、飽和脂肪酸は脂質の内訳として、糖類は糖質の内訳としてそれぞれ表示します。
☆☆表示値を得る方法☆☆
栄養成分表示(義務)は原則として分析値を表示しなければなりませんが、消費者庁は、平成27年3月に通知された「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」(第1版)において、表示値を得る方法として表示された含有量に『合理的な根拠』があれば、「分析値」に加えてデータベース等を利用した「計算値」、「参照値」、またはこれらの「併用値」いずれの方法も用いることが出来ると説明しています。
ただし、表示された数値と「実際の栄養成分値」(分析値)の間には許容差の範囲が決められており、これを超えた場合は表示違反として処分の対象となります。
よって「計算値」等で表示をする場合は、分析により成分分析データとの差がないことを確認しておく必要があります。
✔「分析値」:公定法により栄養成分を分析した値。表示の誤差範囲が定められている。(義務表示項目の誤差範囲:±20% ただし食塩相当量はナトリウム量の誤差範囲として定められている)
✔「計算値」:公的なデータベース等から原料の栄養成分を入手し、その食品の栄養成分を自社のもっている配合レシピ等から算出した値。
✔「参照値」:公的なデータベース等をもとに表示しようとする食品と同一または類似する食品から栄養成分値を類推した値。ただし栄養成分表示しようとする食品の分析結果を参照値として取り扱うことも可能。
「併用値」:分析値、計算値、参照値を併用した表示。
☆☆食肉科研の対応☆☆
4月1日より食品表示基準が施行され半年が経過し(経過措置期間は5年)、最近では原料肉等の栄養成分検査のご依頼も徐々に増えています。当研究所では、栄養成分に関する検査項目についてお得なセット料金を設定しております。これを機会に一度は自社製品の成分値を分析によって把握することをお勧めします。得られた分析データは、栄養表示基準に沿った「分析値」表示あるいは「参照値」表示をするための『根拠資料』として活用することができます。どうぞ当研究所の栄養成分検査をご利用ください。また、食肉製品以外の食品についても対応しております。料金、納期、検査に関するご質問などお気軽に理化学部(電話:03-3444-1946)にお問い合わせください。
文責:事業統括部理化学部 吉田由香
☆☆食品表示法創設の概要について☆☆
一般食品の表示は従前、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)、健康増進法の3法により取り決められていました。新しく施行された『食品表示法』は、この3法の食品表示に関する規定を統合、重複していた規定や複雑な解釈を一元化することで整合性をとり、消費者と事業者のどちらにもわかりやすい表示を実現する観点から創設されました。
☆☆表示義務化の対象成分☆☆
栄養表示は食品に含まれる栄養成分を表示し情報提供することで、消費者が食品を購入する際の商品選択の一助とするためのものです。飽食の時代となり日本人の食生活の変化とともに生活習慣病への対応が必要となった背景もあり、栄養表示が義務化となりました。表示が求められる栄養成分を下記に示します。
義務 熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示)
任意 推奨 飽和脂肪酸、食物繊維
その他 糖質、糖類、コレステロール、ビタミン、ミネラル類
義務表示の対象成分は、熱量等5成分が定められています。また任意表示のうち推奨項目に定められている飽和脂肪酸及び食物繊維は、消費者にとって表示の必要性が高いことから将来的には義務化を視野に入れている成分です。
☆☆ナトリウム表記から食塩相当量表記へ☆☆
従前は「ナトリウム」として表示が取り決められていましたが、食品表示基準ではナトリウムに2.54を乗じ算出した「食塩相当量」を表示するよう変更されました。実際にナトリウムを表示することは科学的には正確であるものの、我が国の食事摂取基準がナトリウムではなく食塩相当量で定められていることや食塩相当量を用いた栄養指導が行われてきたこともあり消費者に理解されやすい表記となったようです。
☆☆表示方法について☆☆
次頁に表示例を示します。
基本的なルールとして表示する食品の100g、100ml、
1包装や1食分など食品単位あたりの各栄養成分を表
示します。また、表示すべき項目の順序と単位が定
められており、①熱量(kcal)、②たんぱく質(g)、③
脂質(g)、④炭水化物(g)、⑤食塩相当量(g)となります。
ただし、食塩相当量については、ナトリウム塩を添加していない食品にのみ任意でナトリウムの量を併記することができ、その場合単位はmg(1,000mg以上の場合はg表示可)となります。なお従前は食物繊維を表示する場合、炭水化物に代え「糖質、食物繊維」を表示することになっていましたが、食品表示基準では炭水化物は必須表示となったため、炭水化物の内訳表示として糖質、食物繊維を表示することになります。他に、飽和脂肪酸は脂質の内訳として、糖類は糖質の内訳としてそれぞれ表示します。
☆☆表示値を得る方法☆☆
栄養成分表示(義務)は原則として分析値を表示しなければなりませんが、消費者庁は、平成27年3月に通知された「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」(第1版)において、表示値を得る方法として表示された含有量に『合理的な根拠』があれば、「分析値」に加えてデータベース等を利用した「計算値」、「参照値」、またはこれらの「併用値」いずれの方法も用いることが出来ると説明しています。
ただし、表示された数値と「実際の栄養成分値」(分析値)の間には許容差の範囲が決められており、これを超えた場合は表示違反として処分の対象となります。
よって「計算値」等で表示をする場合は、分析により成分分析データとの差がないことを確認しておく必要があります。
✔「分析値」:公定法により栄養成分を分析した値。表示の誤差範囲が定められている。(義務表示項目の誤差範囲:±20% ただし食塩相当量はナトリウム量の誤差範囲として定められている)
✔「計算値」:公的なデータベース等から原料の栄養成分を入手し、その食品の栄養成分を自社のもっている配合レシピ等から算出した値。
✔「参照値」:公的なデータベース等をもとに表示しようとする食品と同一または類似する食品から栄養成分値を類推した値。ただし栄養成分表示しようとする食品の分析結果を参照値として取り扱うことも可能。
「併用値」:分析値、計算値、参照値を併用した表示。
☆☆食肉科研の対応☆☆
4月1日より食品表示基準が施行され半年が経過し(経過措置期間は5年)、最近では原料肉等の栄養成分検査のご依頼も徐々に増えています。当研究所では、栄養成分に関する検査項目についてお得なセット料金を設定しております。これを機会に一度は自社製品の成分値を分析によって把握することをお勧めします。得られた分析データは、栄養表示基準に沿った「分析値」表示あるいは「参照値」表示をするための『根拠資料』として活用することができます。どうぞ当研究所の栄養成分検査をご利用ください。また、食肉製品以外の食品についても対応しております。料金、納期、検査に関するご質問などお気軽に理化学部(電話:03-3444-1946)にお問い合わせください。
文責:事業統括部理化学部 吉田由香