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#6 ハム・ソーセージの定義について(2015年10月号)

今回は、ハム・ソーセージの定義についてお話します。品質表示基準(食品表示基準)で定義のある食品は、その定義に合っていなければ表示違反となってしまいますので注意しましょう。

☆☆ベーコンといえるもの☆☆
ベーコンは、品質表示基準(食品表示基準)において、「豚ばら肉を整形し、塩漬(えんせき)し、及びくん煙したもの」とされています。ですから、発色剤の使用は必須です。ちなみに、「塩漬(えんせき)」とルビが振られているのは、「しおづけ」とは異なることを意味しています。「無塩せきソーセージ」の「漬」は、「せき」と平仮名で表示することとされています。
ベーコンは「くん煙したもの」とされていますので、「蒸煮」、「湯煮」したものはベーコンとは言えません。ではベーコンは加熱殺菌できないのか、というとそうではなくて、乾燥を伴うような湿度を調節した加熱処理をすればよいのです。これは、製品の水分活性を下廻る湿度で加熱処理を行うことを指していて、ベーコンの水分活性はおおむね0.97~0.98なので、湿度を97%未満とすることで達成できます。また、工場で製品規格書を作るときは、定義に合致した製品であることを明確にするため、「蒸煮」工程ではなく、「湿度調節乾燥」または「定湿乾燥」工程としていただくようにお願いします。

☆☆ハムのケーシング☆☆
ボンレスハム、ロースハム、ショルダーハムの定義には「ケーシング等で包装」することが規定されています。ファイブラスケーシング、紐や布、ネットなどで包装することが必要です。例えば、豚ロース肉を塩漬(えんせき)した後そのまま網に載せて加熱する製品は、ロースハムと名乗ることはできません。ラックスハムも同じです。ただし、「生ハム」には法律上の定義がありませんので、ケーシングで包装しなくても「生ハム」と名乗ることはできます。
ベーコンの定義を振り返ってみますと、「ケーシング等で包装」は示されていません。よく使われるリテーナーは金型であってケーシングではありませんので、定義に抵触することはありません。

☆☆ソーセージの太さ☆☆
ウインナーソーセージの定義には、「羊腸を使用したもの」とありますので、羊腸ケーシングの太さが20mmを超えたとしても、一括表示の名称は「ウインナーソーセージ」と表示します。その場合、商品名であっても「○○フランク」と表示することは好ましくありません。「○○フランク」は一般には「フランクフルトソーセージ」と受け取れます。一括表示に表示する名称とは異なる定義に当てはまると誤認されるおそれのある商品名であるためです。

今後もこのコラムを通してだけでなく、会員の皆様への情報提供に努めてまいります。ご不明な点がございましたらお問い合わせください。

文責:事業統括部 猪口由美